コラム「木谷高明の視点」

第7回 「7年後の日本に向けて」

2013年10月15日

ブシロード社長の木谷です。
東京ゲームショウ2013ならびにブシロードが主催、参加させていただいた夏のイベントにご来場いただきまして、ありがとうございました。
人が集まって遊び、交わる。TCG全般にもいえることですが、イベントはいいものですね。
2020年のオリンピック開催都市が東京に決まりましたが、大きなイベントを大勢で体験することは金額以外の面からも経済効果を生み出します。
今回は、イベント、お祭りに関わる人間の“情熱”についてお話をさせてください。

東京ゲームショウ2013会場で、『ファイブクロス』の新規参戦タイトルについて発表しました。
既に発表させていただいていました『IS<インフィニット・ストラトス>』『ファンタジスタドール』『熱風海陸ブシロード』に加えて、『プリティーリズム・レインボーライブ』『ソードアート・オンライン』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』が参戦します。
これからも非常に魅力的なタイトルが揃ってきますし、キャラクターカードゲームとしては『ヴァイスシュヴァルツ』に並ぶ商品に育てていきたいです。
ちょっと懐かしいタイトルも参戦してもらいたいとも考えています。今はまだお知らせ出来ませんが、ぜひご期待ください。

『ファイブクロス』はハイブリッド型カードゲームです。お店で買ったカードをネットから登録して、ネット上で対戦する『キング オブ プロレスリング』で培ったノウハウを発展させています。
すべてのカードにシリアルコードがついていて、さらにレアカードはもう1重のピローにはいっていますから、ショップにシングルカード売りをしてもらいやすくなっています。
それにネットで登録したら自動で対戦することには変わりありませんが、特定のプレーヤーを指定して対戦もできるんです。ということは、お店に集まってイベント、公認大会ができるんですよ。
従来のカードゲームと同じように楽しんでもらえますし、オンラインだから1人でも遊べます。
両方の遊び方のどちらでもいいハイブリッド型なんです。

今年の新作カードゲームはじっくりデッキを組んで対戦するタイプが多いんですが、スマホが普及して以来、一般的には遊びの時間はどんどん小刻みになっています。
スマホで2~3分の入力を済ませて後で結果を確認するスタイルも、今の時代に求められていると思います。


始め方も手軽なんですよ。PRカード1枚から始められますから。
もっといえば何もないところから始められます。
東京ゲームショウ2013でPRカードを配布しましたし、9月末からはベータテストを始めました。
是非多くの方にお試しいただきたいですね。

また、今年の夏のイベントと言えば『しろくろフェス』は忘れられません。
コミケと同日開催の24時間イベントという、よく考えたら異常なことをやりましたね。
しかしながら、夜中の1時半に2,000人くらいがカードゲームを楽しんでいる光景を見たときは、とても感動しました。
社内でも「24時間!?」「無理でしょ」「事故や問題が……」という声は多かったんです。
もちろん、難しいというか、やらないほうがいい理由はいくつでも出てきます。
それでも100%の準備や対策ができてないと動けなかったら、面白いことなんてできません。
20、30%しか見えてなくてもチャレンジする、リスクを取って始めてしまうことで見えてくる世界があるんです。
だから、24時間イベントについては「いいからやれ」に近い号令をかけました。
反省点もありますけど、モザイクアートなんかは現場から出てきたアイデアですし、イベントとして結果的には盛り上がったし、成功だと思っています。
そして今年のチャレンジがあったからこそ、次はもっとうまくやれます。
小さなことでもいいから、もっとハジケた発想をする人間が社内にもっと欲しいところですね。

今年は合宿イベントもやりました。
『ChaosTCG』『モンスター・コレクションTCG』『ヴィクトリースパーク』で、261人も集まりました。
去年は40人くらいで、昔やった宿泊イベントでも150人が最大人数でしたから、予想以上の反応でした。
宿泊ですから参加費も交通費も普通のイベント以上にかかるのに。とてもありがたいことです。

今、社員旅行やサークルの合宿とか、減っているらしいんです。不景気で控えているという背景もあるかもしれませんが、そういう濃密な内輪のコミュニケーションが嫌だって声が大きかったんでしょうね。
でも全員がそう思ってるわけではないし、旅行や合宿自体がつまらなくなったわけではない。
需要や要望が消えたんじゃないんです。
『しろくろフェス』も合宿も、同じものを好きな人が集まって遊んで楽しんでもらえるイベントになって、本当に良かったと思います。

また、2020年のオリンピック開催都市が東京に決まりましたよね。7年後のことを考えるなんて、日本全体にいい目標が出来たと思います。ブシロードクラブからもレスリング五輪代表を輩出したいですね。
オリンピックがらみでなくても、7年後までに結婚するとか、仕事でどうするとか、目標を持てる人が増えると思います。

私は60歳になってしまいますが、とあるインタビューで「2020年にはブシロードグループ全体で売り上げ2,000億円になる」と答えました。
どうするんだって、根拠は“まだ”ありません。でも夢物語でもありません。

それくらい大きなチャレンジを掲げておけば、今見える根拠だけでなく、違うところから到達できるルートが見えてくるかもしれませんしね。

6年前に起ち上がったカードゲームベンチャーがキッズ向けタイトルを成功させて、新日本プロレスを子会社にして盛り上げて、まったく未知のスマホ事業を始めて、小さな失敗はありながらも成長を続けているんです。
響ミュージックという音楽会社、ブシロードメディアという広告代理店もやっています。
ついには『月刊ブシロード』も創刊しました。

ブシロードは無理だって言われていることをいくつもやってきたんです。
最初から無理だ、危険だと言ってたら、何もないままでした。

だから社員にも、コラムを読んでくださっている方にも、夢を持って仕事をしてほしいです。
掲げた夢が実現するとかしないとか関係なく、将来の成長に必ずつながりますから。