コラム「木谷高明の視点」
第54回 インフレ時代を勝ち抜くための3つの方針
2025年07月25日
木谷です。史上初めて3連休の中日に設定された参議院選挙が終わりました。ここではその結果についての意見は差し控えますが、よかった点を挙げるとするならば、今回の選挙では自分の主張を本音で語る人が増えたと感じました。主張している内容の是非はともかくとして、上辺だけのきれいごとで論じられても、そこで得た結論で得する人はほとんどいないでしょうから、いい傾向と言えるでしょう。
そういった意味では、今回の選挙で新興政党の果たした役割は大きかったと思います。
ただひとつ残念なのは、これはXでもつぶやいた のですが、政府の無駄をなくそうという声が一切聞かれなくなってしまいました。財源について論じるのはNGワードのような扱いで、過剰な国債発行への警戒感がどの党からも伝わってはきませんでした。実際には予算には限りがあるわけですから、限られたお金をどこに使うかがもっと重要なはずです。
たとえば、1兆円を遠く離れた外国に投じるのと、東京都内の渋滞解消のためのインフラ整備に使うのとではどちらが有用か。都内のインフラ整備に投資した結果、これまで30分かかっていた移動時間が15分に短縮できたとします。たかが15分と思うかもしれませんが、その恩恵を受ける人が1日4万人いるとしたら、1日あたりで10,000時間の余剰を生み出したことになります。10,000時間を金額に換算するといくらになるのか。概算しただけでも、かなりの生産性向上になるのに気づくのではないでしょうか。
要はお金の使い方なんです。無駄を省いて、効果が大きいところにお金を振り向ける。そうすることで効率よく経済が回って、税収も増えていくでしょう。どの政党もお金が水や空気のように湧いてくるものとして論じているのが残念でなりません。
◆インフレ時代に求められること
さて今回の選挙での各党の主張を見回してみても、今後、インフレがさらに加速するのは間違いありません。バラマキをすればするほどお金の価値は下がっていき、物の価格は上がっていきます。インフレになり、ポピュリズムに走ればさらに格差は広がっていきます。
デフレの間は利益を現金で保有しているだけでよかったところが、インフレの時代ではそうはいきません。現金で持っていても価値が目減りしていくだけですから、投資は活発になっていくと思います。
日本企業が内部留保をためこんでいるという批判がありますが、これまで企業がなぜ投資をあまりしなかったかというと、ひと言でいえば政府に対する信頼が足りなかったからです。企業が投資をしないからデフレになる、デフレになるから投資を控える…という悪循環に陥っていました。しかし、これからは企業の投資も盛んに行われるでしょう。
政府はこの機を逃さず、もっと投資機運が高まるよう動くべきです。デフレ脱却を宣言し、大企業向けには設備投資減税を実施するのがよいと思います。政府にはインフレ時代に対応した政策を求めます。
デフレの時代は30年続きました。インフレの時代は10年では終わらないと考えています。
◆ブシロードが掲げる3つの方針
そのような経済状況を背景に、ではブシロードはどうしていくか。8月の決算発表で正式に公表しますが、今期以降、3つの方針を掲げて臨みます。
1つ目は、改めて「カードゲーム世界一」を目指す。2つ目は、海外進出を加速する。3つ目は、自社IPの活性化および新規IPの創出です。
それぞれ補足すると、カードゲーム事業については、前期は過去最高の売上を記録できましたが、新規タイトルの発売が業績に大いに貢献してくれました。今後は引き続き新規タイトルをリリースしつつも、事業の大黒柱といえる「ヴァイスシュヴァルツ」と「カードファイト!! ヴァンガード」もさらに手厚く伸ばしていきたいと思っています。
カードゲームについてさらに言えば、売上やユーザー数ではまだまだですが、取り扱いタイトル数ではすでに世界一ではないでしょうか。この効果は出てきていて、今後も他社様から商品化についてのさまざまなご提案をいただけそうだと感じています。すでに「新規にカードゲームを立ち上げるならブシロードと組まなきゃ」といった空気はできていますし、ブシロードとしてもいただいたオファーについては前向きに取り組んでいく所存です。
2つ目の海外進出については、中国を中心とした東アジアと、米国を中心とした北米、この2つが重要だと捉えています。関税の問題がある米国は様子を見ながらやっていきますが、東アジアは今年から来年にかけて全力で取り組みます。前期は25~30%程度だった海外売上高比率を、2030年までに50%にまで高めたいと考えています。
3つ目の自社IPについて。会社四季報でもずっと「ヴァンガード」と「バンドリ!」のことが書かれていることからもわかるように、しっかりと売上の立つ自社IPを保有していることがブシロードの強みです。「新日本プロレス」、「スターダム」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」といった有力なIPもすべて伸ばしつつ、将来の柱となるようなIPを新たに1つか2つは創り出したいと考えています。当グループに新卒で入社した社員に聞いてみても、やはりブシロードのIPが好きで入社を決意したという人が多くなっています。そういったことから考えても、やはり自社IPが強いことが将来にわたって会社を強くするのだと実感しています。
◆熱く燃える夏のイベント!
最後に。ブシロードはこの夏も盛りだくさんのイベントをご用意しています。
「バンドリ!」では、今週末の7月26日(土)・27日(日)にAve Mujicaの単独ライブ「Nova Historia」 が開催されますし、8月23日(土)にはPoppin'Partyが中国で初となる海外単独公演 を実施します。そして8月29日(金)~31日(日)に開催されるアニソンの一大ライブ「Animelo Summer Live 2025」では、「バンドリ!」から4バンドが出演しつつ、ミルキィホームズ が復活のステージを披露します。
プロレスでは、新日本プロレスの「G1 CLIMAX 35」が開催中ですし、今週末からはスターダムの「5★STAR GP 2025」も始まります。
カードゲームでは、「WGPデラックス2025」と「ちほうかっぷデラックス2025」のSeason2がスタートしますし、8月23日(土)、24日(日)には「カードゲーム祭」が初めてシンガポールで開催されます。さらに8月16日(土)、17日(日)には、韓国の現地法人が初めて主催するカードゲームの大イベント「ソウルカードゲームパーティ」も開催されます。
世界各地で開催されている「Bushiroad EXPO」についても、先日ロサンゼルスと上海のイベントに行ってきたばかりですが、9月にはメキシコシティで開催されます。ブシロードの株主総会終了後に初めて行ってきます。
そして、グループ会社である劇団飛行船が制作した完全オリジナル作品、舞台「タタラの唄姫」 。こちらももうすぐ千秋楽ですので、ぜひ観ていただきたいと思っています。
本当に多種多様なイベントが次々と開催されますので、ぜひ興味のあるイベントを見つけてご参加ください。ブシロードの夏は熱く燃えています。暑さに負けず、ブシロードのイベントで英気を養ってがんばっていきましょう!