コラム「木谷高明の視点」
第55回 海外出張で得た新たな知見
2025年10月24日
木谷です。少々時間があいてしまいましたが、まずは御礼から。さる9月25日に、ブシロードは第19期定時株主総会を開催いたしました。当日は過去最多の株主様にお越しいただき、貴重なご意見を多数頂戴することができました。ご来場いただいた株主の皆さま、誠にありがとうございました。
そして10月1日には、1:2の割合で当社株式の分割を実施しました。
株式分割の目的は、1株あたりの単価を引き下げることにより、株主の数を増やすことです。ありがたいことに当社の株主様はブシロードファンの方が多いので、それならば買いやすい価格のほうがいい。株式分割によってこれまでよりも低い価格で当社株を取得できるようになりました。ファンクラブに入会するような気持ちで、ぜひこのコラムを読んでいる皆さまにも株主になっていただきたいと思っています。現在のブシロードの株主数は、だいたい2万人といったところです。これを3万、4万と増やしていきたい。そのためにも自社IPをヒットさせて、もっと会社の知名度を上げていかねばなりません。
株主数を増やすことの狙いはもうひとつあって、若い世代の方に株式投資を始めてほしいのです。ブシロードがその後押しをしたい。そして最初に買った株がブシロードとなれば、ずっと思い出として残りますよね。
あまり株主の数が増えてしまうと、来年の株主総会では質問ができなくなってしまうのではとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのあたりはより良い形を考えてご提案したいと思います。
驚きと感激の海外出張
株主総会終了後には、海外へ出張に行ってきました。
実際に訪れてみると、アニメイベントへの出展にカードゲームショップの訪問、現地のプロレス団体「CMLL」のオーナーとのランチミーティングと充実した出張となりました。
カードゲームについては、現地では英語版のパックが一番売れているのですが、「ヴァイスシュヴァルツ」と「カードファイト!! ヴァンガード」が販売の中心で、特に「ヴァイスシュヴァルツ」のユーザー数の多さに驚きました。日本からすると地球の裏側と言える場所にも熱心なユーザーがたくさんいらっしゃる。とてもうれしかったですね。
また、現地のカードショップ経営者の方たち30名ほどを集めてリテーラーミーティングも行いました。中には夫婦でご参加される方もいらしたのですが、赤ちゃんを連れてきた方も3名いらっしゃいました。それだけ個人経営の店が多く、経営者も若いんです。行ってよかったなと思いました。
それから個人的には、メキシコシティにあるルチャリブレ(スペイン語のプロレス)の聖地「アレナ・メヒコ」のリングに立たせてもらったのが印象深い体験でした。高校時代にプロレス雑誌を4誌も購読していた自分としては、当時誌面で紹介されていたアレナ・メヒコのリングに立てるとは夢にも思っておらず、感激しました。メキシコにとってのルチャリブレは、日本にとっての大相撲のようなもの。そもそも生涯のうちにメキシコを訪れるかどうかもわからなかった自分にとって、身に余る光栄でした。
3泊5日でメキシコを後にし、日本に戻ってから24時間後には、今度は香港に出発しました。
香港ではカードショップの経営者たちとランチミーティングし、現地のカードゲームショップを訪れました。次に広州に移り、ここでもショップ経営者たちとのミーティングと店舗訪問を実施した後、アニメイベントに立ち合い、さらに中国初開催となる新日本プロレスとスターダムの合同興業「Historic X-over」を観戦しました。その後は長沙、武漢、杭州と飛び、最後に上海でMyGO!!!!!とAve Mujicaの合同ライブ「わかれ道の、その先へ」 を見届けて帰国しました。合同ライブはメルセデス・ベンツアリーナに1万5千人超を集める大盛況。2日間で計3万人以上の観客を魅了する、身びいきなしに圧巻のステージでした。
海外出張では滞在した各地でカードゲームショップを訪問しました。合計30店舗くらいに足を運んだでしょうか。メキシコでもそうでしたが、最初に触れたカードゲームが「ヴァンガード」で、「ヴァンガード」好きが高じてカードゲームショップを作ったという若き経営者の方々に出会えたのは、大きな喜びでした。
香港、広州、長沙、武漢、杭州、上海に10泊11日で出張をしました。出張で得たものは大きかったです。日本との重要な違いをいくつか発見しました。所得格差が大きいため、低年齢層に向けて価格を安めに設定している簡体中国語版の「ヴァンガード」がよく売れています。それから日本に比べて通信販売の比率が高い。そしてシングルカードを売買する中古市場が、日本ほど発展していないんです。これには歴史的な背景があります。日本では1980年代に勃興した、いわゆる“ファミコンショップ”が育んできた中古ビジネスのノウハウがあります。それが現在にまで至るカードゲームビジネスの基盤となっています。ところが中国にはファミコンショップが存在しなかった。現在ではコンソールゲームの販売は大半がダウンロードですから、中国には中古パッケージを売買するノウハウがそもそも育っていないのです。中国のカードゲームショップに個人経営が多いのには、こういった事情も関係しています。
その一方で、中国には各都市にアニメ文化の中心地のようなショップが集中している場所があり、コスプレのまま街中を闊歩する文化もある。二次元を愛する文化は日本より進んでいるとさえ感じます。いずれも実際に現地を訪れてみてわかったことです。日本のエンタメ企業はほとんど上海しか見ていませんが、上海だけ見ていてもダメなんです。今回の出張の目的の一つが、中華圏のカードゲーム市場が今後どのように成長していくかを探ることでした。結論から言うと、日本と同じ成長軌道は辿らないと考えます。これからさらに市場が大きくなることは間違いありませんが、日本とは違った成長の仕方になるでしょう。私の中で、何をやるべきかの答えを出すことができました。
「新春大発表会2026」に注目せよ!
この秋は海外に時間を割いたので、これから来年にかけては、初心に帰って日本各地のカードゲームショップを訪問していこうと思っています。
そしてぜひご注目いただきたいのが、来年1月12日(月・祝)に開催する「カードファイト!! ヴァンガード 15th Anniversary ブシロード新春大発表会2026」です。いろんな発表をご用意していますので、チケットのご購入をお勧めいたします。最速先行の申し込みは終了しましたが、この後2次先行受付も予定しておりますので、ぜひチェックしてみてください。「バンドリ!」の新情報もありますし、ブシロード3つの方針のうちの1つとして掲げた“新規自社IPの創出”、その第1弾となる完全新作タイトルも初公開いたします。
海外も国内も、いつでも最前線に立ち続ける覚悟です。進化を続けるブシロードに、どうぞご期待ください。