コラム「木谷高明の視点」
第51回 時代の転換とブシロードの目指す道
2025年04月01日
4月1日、今日から新年度のスタートです。本日ご入学された方、ご進級された方、ご就職された方、おめでとうございます。特に、今日から新社会人になられた方。これから長く、そしてとても面白い社会人生活が始まります。社会という大きなステージで、ご活躍されることを祈念しております。
また、現在就職活動をされている方もいらっしゃるかと思います。内定が出てから入社まで、1年ほどの期間がある新卒一括採用は、海外ではほとんど見られない日本独特の仕組みです。就職活動ではしんどい思いをすることもあるかもしれません。しかしいろんな会社を訪問できて、そこで働く人たちと対話できるというのは、就職活動をしている学生の特権でもあります。就職活動の経験は社会人になっても生きてきますので、思い切って行動してほしいと思います。
私が社会人になったのは41年前ですが、世の中変わったなあと思います。当時、新卒一括採用で入社した新入社員は、入社の時点ではその会社で一生勤め上げるつもりの人が大多数だったと思います。今はそんな気持ちで入社する方はほとんどいないでしょう。採用もジョブ型雇用(職務内容を明文化し、企業と従業員が契約を交わす採用方法)が広がりつつありますし、20代の転職率も高まっています。それがいいかどうかは別として、時代の変化なのかなと感じています。
ブシロードは新卒採用には力を入れていて、毎年採用人数を増やしています。今年は38名が入社しました。来春の採用では40人以上を採用したいと思っています。
新卒採用を増やす理由として、20代の方の成長スピードが40年前に比べて明らかに速くなっていることが挙げられます。業務のIT化を背景に、情報処理の量と質、そして速度に至るまで、すべてが著しく向上したためです。時間あたりでこなせる業務量が格段に増えたので、職務で積める経験の量が加速度的に伸びたのです。
私が社会人になったときには当然インターネットなんてなかったですし、電話も固定電話だけの時代です。やっとFAXが出てきたかな、という頃で、情報を伝えるにはまずは電話、そして資料は書類にしてお客様のもとに手持ちするのが当たり前でした。お客様の所に行くにも電車に乗って行くわけですから、移動だけも1時間は見ないといけません。それがいまでは紙資料よりよほど充実したデータをネットで一瞬で送れるわけです。
職種によっては、現在の8時間労働でアウトプットされる仕事の量と質は、昔の14〜16時間くらいの労働量に匹敵するのではないでしょうか。それだけの仕事を短時間でこなせるわけですから、真剣に業務に取り組んでいる方の成長スピードには目を見張るものがあります。新社会人の方は、これから数年が自分自身を大きく飛躍させる機会となります。仕事に取り組むことが自分自身の成長にとっての貴重な選択肢と捉え、ぜひがんばっていただきたいと思います。
◆海外戦略の進展と伸びるイベントの力
さて、前置きが長くなりましたが、新年度にあたりブシロードの今後の方針と決意を記しておきます。
日本は30年以上、低成長のデフレの時代が続きました。それが2年ほど前からインフレの時代に転換し、同時に成長が見込めるステージに入ったと考えています。インフレ下ではこれまでと生活スタイルが変わりますから、企業の経営スタイルも変わっていかねばなりません。企業はその点をはっきりと自覚しなくてはならないでしょう。ただ、国内は人口が減っていくことが明らかなわけですから、市場の拡大は簡単ではありません。では、企業はどこに成長機会を求めるべきか。ブシロードのメインビジネスであるカードゲームでは、すでに売上の40%以上が海外での売上になっています。音楽ビジネスも、配信、ライブともに海外売上が高まってきており、ライブでは海外の開催でも1万人弱の来場者を集められるほどになりました。国内で開催するライブでも、来場者の20〜30%が海外からのお客様、ということも珍しくなくなってきました。
以前からの繰り返しになりますが、コンテンツがデジタルになったらオンラインに乗り、オンラインに乗ったらグローバルに成長します。エンターテイメントは、たとえばITや金融などの他ジャンルと比較しても、よりグローバル化しやすいジャンルです。ですから成長機会は海外に求めるしかない。ブシロードではカードゲームからスタートした海外戦略が、音楽やデジタルゲーム、グッズなどにも波及している最中です。
4月26日(土)・27日(日)に、Kアリーナ横浜で開催されるMyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ「わかれ道の、その先へ」は、おかげさまで2日間ともチケット完売しました。5月3日(土・祝)・4日(日・祝)に、東京ビッグサイトの南1〜4ホールで開催する「カードゲーム祭2025」 も、昨年を大きく上回るスピードで前売券が売れております。今年も6,000席以上の対戦スペースを用意し、世界最大級のカードゲームイベントとして開催いたします。一昨年まで「ブシロードカードゲーム祭」としていたものを、昨年から“ブシロード”の名称をイベント名から外し、他社様も出展できるイベントになりました。「カードゲーム祭」をオープンプラットフォームにして、さまざまなアナログゲームが集まるイベントとして拡大させたいと考えています。来年以降は、会期を3日間に広げ、来場者数ものべ5万人を目指します。5万人の来場者のうち、30%が海外からのお客様で、地方からのお客様も多数となれば、そこから新しい何かが生まれる…といったことにも期待できるのではないでしょうか。
蛇足ですが、「カードゲーム祭2025」の会場では、私のアクリルスタンドも販売されます。ご興味ある方はぜひご来場のうえお求めください(笑)。
◆目指すは有料イベント来場者数100万人
イベントについてさらに言えば、イベントは「人が集まる所」の価値を持ちつつあると考えています。なぜか。広告手段としてのテレビの価値がどんどん下がり、広告の主体がネットに移りつつある現在ですが、まだまだ過渡期です。ネット広告は効果がわかりづらかったり、打つべき量がわからなかったり、ときには広告料が割高になっているものもあって、やりづらさを感じることが多々あります。
その点、イベントはそもそもがターゲティングされています。たとえばカードゲームのイベントにはカードゲームファンが来るわけですから、年齢や性別など自ずと絞り込まれており、広告の掲出場所としてはとても使いやすい。これは音楽ライブ、舞台、スポーツ、いずれのイベントでも同様です。ですから、これから人の集まるイベントの価値は高まっていくでしょう。
そういったことを前提に、ブシロードグループとしては、カードゲームからプロレスまですべてのイベントの観客動員力を高め、現在75万人程度である有料イベントの来場者数合計を、再来期には100万人以上に押し上げたいと思っています。
混沌とした時代ではありますが、ブシロードは世界中の皆様の感動と喜びのために、全力で取り組んでまいります。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。今日から始まる新年度、皆様のご活躍を心より祈念しております。
最後に。次回のコラムは、6月6日、私の65歳の誕生日に公開いたします。