コラム「木谷高明の視点」
第49回 カードゲーム市場はまだまだ拡大する!
2024年07月12日
木谷です。また久しぶりのコラム更新となってしまったので、まずは前回のコラムの振り返りから始めたいと思います。
前回は、4つの理由を挙げて日本が好景気になると書きました。インフレの高止まりと円安で物価高が続いていますので、むしろ生活は苦しくなったと感じている方が多いと思います。ですがここ1年半ほどの間で起こった事実に関して言えば、かなりの部分で的中したのではないでしょうか。
株価は上昇し、日経平均株価は4万円の大台を超えました。東京の不動産価格もすごい勢いで上がっています。インバウンドは絶好調でコロナ禍前を超えました。台湾の半導体企業TSMCの熊本での工場建設に象徴されるように、製造業が日本に戻ってきつつあります。国民の肌感覚とはまだ大きな乖離があるのが残念なところですが、客観的な数値の上では日本経済は30年にわたる停滞から脱しつつあると言えるでしょう。
◆さらなるカードゲーム市場拡大のための3つの条件
カードゲームについては、売り場がどんどん増えて、マーケットが拡大すると書きました。これも的中したと思います。では今後はどうか。カードゲーム業界がここからさらに成長していくには、3つの条件があると考えます。
1つ目は、前回のコラムでも指摘したことですが、売り場がこれからも増えていくことです。
売り場が増えることで、カードゲームを仕事にする人の数も増えていきます。売り場でカードゲームを扱っている店員さんは、「カードゲームはやめた方がいい」とは間違っても言いませんよね。「遊び方の講習会を受けませんか」とか「大会に出ませんか」とか、さまざまな手法でお客様にカードゲームを勧めます。カードゲームの世界に誘う人の数が増えていることはとても頼もしいことです。人が人を呼ぶ好循環が期待できます。
2つ目は、さまざまな作品が新規タイトルとしてカードゲーム化される環境が整ったということです。
ブシロードとしても「五等分の花嫁」のオリジナルタイトル「五等分の花嫁カードゲーム」を年内に発売しますし、VTuberグループ「ホロライブ」のオリジナルタイトル「hololive OFFICIAL CARD GAME」
のお手伝いもしますし、新作タイトルは増えていきます。他社の新作やメーカーの新規参入も増えていくと予想しています。
なぜこれから新作が増えていくのか。背景としては、これまで業界を呪縛のように支配していた「トレーディングカードゲームは永遠に続いていくものでなくてはならない」という幻想がなくなってきた、という点が大きいと思います。実際、カードゲーム市場は、オリジナルでキャラクターや設定を無限に増やせるタイトルか、「ヴァイスシュヴァルツ」のように人気コンテンツをどんどん追加できるタイトルかのどちらかに2分されていました。それが近年の新作のヒットにより、潮目が変わったと感じています。実はユーザーは永遠に続くことを求めていなくて、はじめから商品展開の終わりを明示されていた方がむしろ手に取りやすいのではないでしょうか。
商品展開が短期間で済むのであれば、タイトル数は増えます。タイトル数が増えれば、市場は拡大します。ユーザーとしては、選択肢が豊富な時代が到来すると言えるでしょう。
3つ目は、グローバル化による世界的なカードゲーム市場の拡大です。
日本国内だけを見ても、訪日外国人によるカードゲーム需要はどんどん高まっています。海外に目を向けると、これまでカードゲームが遊ばれていなかった地域でもカードゲームが遊ばれるようになってきています。当社も「ヴァンガード」だけでなく「ヴァイスシュヴァルツ」でも簡体字中国語版を発売しました。カードゲームを多言語展開する必要性が高まってきており、メーカーの海外進出がさらに進んでいきます。もちろん日本のユーザーもその恩恵を受けることになります。
約1年半前に公開した前回のコラムで「2〜3年は成長が続く」と書きましたが、まだ成長は持続するでしょう。3つの条件が崩れなければ、カードゲーム市場は、向こう5年の間は拡大し続けると見ています。
◆新規タイトル多数開発中!
市場の拡大に合わせ、もちろんブシロードも取り組みを強化していきます。
まず、複数の新規タイトルを発売します。前述の「五等分の花嫁カードゲーム」をはじめ、メモリアル的なタイトルや既存タイトルを横展開させたような新作、イベントとの連動が楽しめるタイトル、世界市場を目指す新進気鋭のタイトルなどなど、ユーザーの多様なニーズに応えるべく鋭意開発を進めています。詳細は後日明らかにいたしますのでご期待ください。
同時に、商品供給の体制やインフラの強化も進めています。マレーシアの印刷工場に出資して製造ラインを整備しましたし、複数タイトルの開発もこなせるよう自社・他社問わず開発ラインも整備しました。お客様に快適に大会に参加してもらえるよう「ブシナビ」も整備を続けています。登録者数も10万人を超えました。便利ですのでぜひご活用ください。
既発のタイトルについては、「コロコロコミック」での連載や好評なアニメの効果で、「ヴァンガード」が復活を遂げました。ユーザー数も出荷パック数も前年比2割増で好調に推移しています。
「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」もおかげさまでゲームの評判がとてもよく、順調にユーザーが増えています。
5月3日(金・祝)~5月4日(土)の2日間、東京ビッグサイトで開催した「カードゲーム祭2024 in 東京」は、昨年より約2,000人も多い17,163名の方にご来場いただきました。今回よりイベント名から “ブシロード”の名称を外し、ライバル他社も出展できる総合カードゲームイベントに形態を改めましたが、手ごたえを感じました。カードゲーム業界最大のイベントとなるよう育てていきたいと考えています。
既存タイトルを盛り上げながら複数の新規タイトルを投入し、イベントにも全力で取り組みます。拡大するカードゲーム業界の台風の目となるべくブシロードは挑戦を続けます。今後も当社の活動にどうぞご注目ください。