コラム「木谷高明の視点」

第44回 その先の未来を見据えて

2020年12月29日

 木谷です。10月25日(日)に『バンドリ!』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に続く“音楽3部作”の最後のプロジェクト『D4DJ』のアプリゲーム『D4DJ Groovy Mix』(グルミク)がリリースされました。いわゆる音ゲーなのですが、このゲームには誰でも知っている往年のヒット曲のカバーが登場します。つまり老若男女、様々な層の方々に楽しんでいただける作品となっています。
ユーザー層は当初の予想よりも『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』と重なっていないため、上の年齢層からも反応がいい。リリース直後のゲームの評価も4.6と非常に高く、手応えを感じています。現在放送中のTVアニメ『D4DJ First Mix』も好調で話題になっています。第7話が放送された12月18日(月)にはTwitterのトレンド1位を獲得しました。

 放送開始日は秋アニメとしては少し遅めの10月30日(金)でしたが、今後はYouTubeでアニメの14ヶ国語の字幕版をアップして、英語、中国語、スペイン語の3ヶ国語については吹き替えも行い、海外にもアプローチしていきたいと思っています。

 メディア展開にもかなり力を入れています。10月の配信開始直後には『D4DJ presents』としてTBS系で放送された音楽番組『CDTV』の特別編に、芸能人の方々と共に『D4DJ』から 声優たちによる全6ユニットが出演しました。視聴率も週間視聴率音楽部門で3位となる5.9%でしたので、おおよそ600万人の方に観てもらったことになります。放送後はファンの方のみならず、業界の内外からかなりの問い合わせがありました。この特番もそうですが、2020年の特殊な状況下だからこそ実現できた企画が多くあります。ライブ配信がまさにそうですが、こういうご時世、在宅が増えたからこそ伸びる分野も必ずある。今だからできることに目を向け、ブシロードならではの面白いアプローチを今後もいろいろと用意していますので楽しみにしていてください。

 先日、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」の全体ライブ「hololive 2nd fes. Beyond the Stage」で「ホロライブプロダクション」の原曲を3曲実装することを発表しました。月末には水樹奈々さんの『ETERNAL BLAZE』『深愛』など4曲の原曲が実装されました。
今後もオリジナル曲、カバー曲に加えて、原曲も実装することで他のリズムゲームアプリとの差別化を図っていきたいと考えています。

 『D4DJ』に続き、1月には『アサルトリリィLast Bullet』『アルゴナビス from BanG Dream! AAside』と新タイトルのリリースが続きます。『アルゴナビス』はジャンルとしてはリズム&アドベンチャー。『アサルトリリィ』のアプリはポケラボさんが開発しており、ポケラボさんが開発・運営を行っている『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』や『SINoALICE -シノアリス-』の流れを汲むRPGになります。この3タイトルはブシロードの今後を期待できるタイトルになります。

 2020年は新型コロナウィルスの感染拡大により、全国的に多くのライブやイベントが中止や延期となりましたが、ブシロードは、感染防止対策を徹底して、とにかくできる限り早く開催することができるように動いていました。『WGP2020日本選手権』も直前まで開催が危ぶまれていましたが、7月末から開催することができました。
決勝大会は11月に『カードファイト!! ヴァンガード』『フューチャーカード バディファイト』『ヴァイスシュヴァルツ』『Reバース for you』の日本最強のプレイヤーが決定しました。
結果、全国各地のカードショップで行われた店舗大会には、のべ2万人以上のプレイヤーに参加していただきました。やはり、大会があることで初めてみなさんが「遊びたい」という気持ちになる。腕を試せる環境があるということがすごく大事なのだと改めて感じました。
12月からは、すでに『WGP2021春 日本選手権』の予選が始まっています。『WGP2020 日本選手権』の予選は約1ヶ月いう短期間での開催でしたが、今回は予選期間を2倍にして12月から1月を店舗予選、2月から4月にかけて地区決勝を全国12箇所で行ないます。ぜひご参加ください。

 今年後半、秋から冬にかけてのカードゲームの新商品では特に『ヴァイスシュヴァルツ』と『Reバース for you』が好調です。
すでに発表されていますが、『ヴァイスシュヴァルツ』では『Fate/kaleid liner Prisma☆Illya プリズマ☆ファンタズム』『ソードアート・オンライン アリシゼーション』『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の参戦が決定しています。来年早々から、新たなキャンペーンやプロモーションを行なっていく予定ですので、そちらも楽しみにしていてください。

 『Reバース for you』は2020年3月のトライアルデッキ、4月のブースターパックと、タイミング的に初動が新型コロナの影響をモロに受けた形になりましたが、8月からスタートした『ホロライブプロダクション』のヒットで盛り返しました。10月発売の『アズールレーン』、12月発売の『ホロライブプロダクション』の新しいブースターパックも好調な売れ行きを見せています。クリスマスにトライアルデッキ2種が発売になった『D4DJ』に続き、1月には『アイドルマスター シンデレラガール劇場』も参戦します。来年も注目タイトルをふんだんに取り入れるスタイルを継続していきますのでご期待ください。

 海外比率が3割を超えている『ヴァイスシュヴァルツ』と『Reバース for you』に関しては、来年、東アジアでも新規開拓に力を入れることも考えています。
『カードファイト!! ヴァンガード』も2021年は大きく動きます!1月18日(月)と19日(火)に行われる『ブシロード戦略発表会2021冬』での発表をお待ちください。

  新時代の任侠物をテーマにした新プロジェクト『ROAD59 -新時代任侠特区-』は、舞台の制作が発表された当初、全貌が明るみになっていない段階で行った先行販売で、すでに想定外の申し込みがありました。 
もちろんキャストの人気もあるのですが、“箱推しファン”とも言える人達も少なからずいる。メーカーを箱推しというのはおかしいのですが、最近の我々の“攻めのスタンス”が評価されているのだと思います。ここ数年続けてきた“ブシロードのファンを作る”という取り組みが、ここに来てついに実を結びつつあることを実感しています。

 最近は女子プロレス団体、スターダムの人気も急上昇しています。2021年3月3日(水)には日本武道館大会も決定しました。来年以降はメディア展開にさらに力を入れていこうと思っています。年明けの1月4日(月)と5日(火)の新日本プロレスの東京ドーム2連戦の2日目にも参戦します。

 すべてのライブエンターテイメントの未来は、冬から春にかけての感染者数の増減によって決まります。どうなっていくのかは今の時点では誰にもわからないのですから、とにかく今は立ち止まらずに進むことだけを考えています。

 今年もあっという間でしたが、個人的には打ち上げ花火が印象に残った1年になりました。田んぼのなかで上げた『ガルパ無観客花火大会』や、神宮球場の新日本プロレスの大会『D4DJ Groovy Mix Presents SUMMER STRUGGLE in JINGU』の花火も印象深いですが、特に富士急ハイランド・コニファーフォレストの『BanG Dream! 8th☆LIVE』夏の野外3DAYSの光景は、この先も忘れない気がします。
ライブやイベントの開催に関して開催延期や中止が続くなかで先陣を切る「突破口」としての意味合いも持つイベントでしたから、失敗は許されない。開催に踏み切るまでにプレッシャーもあり、ラストの花火は感無量でした。水分補給以外でのマスク着用、歓声や大きなコールの禁止や接触機会を減らすなどの対策をお客さんが徹底してくださったこともあり、おかげさまでクラスターも発生せず、その後のライブイベント開催のモデルケースとなりました。なにより、ライブ、エンタメ界の空気を変えることができたことが嬉しかったです。
花火を見上げるたびに、元の日常に早く戻ることを願っていましたが、来年の夏には、通常の花火大会が開催できるようになってもらいたいものです。まだしばらくコールや歓声ができない状況が続きますが、もう少しの辛抱だと思っています。

 来年は今までと傾向の異なるアプリゲームのリリースを予定しています。新タイトルは、今、日本のアプリゲーム界に進出してきている中国のゲーム開発者たちが手がけにくいジャンルのゲームでもあります。海外産ゲームに押されがちな現状を変える作品になりそうです。こちらは日本語版と英語版の同時リリースを予定しています。東アジアや欧米を含めて、来年はグローバル展開というものが1つのテーマになるはずです。 

 新型コロナウィルスによるさまざまな影響が落ち着いたその先に来る好景気に向けて、来年も新たなIPを作り、既存のものはさらに成長させていきます。コロナ対策に最大限の注意を払いつつ、来年もブシロードは大きな花火を打ち上げますのでご期待ください!