コラム「木谷高明の視点」

第43回 新作TCGで仕掛ける、かつてないプロモーション

2020年01月21日

 木谷です。2020年もよろしくお願い致します。
 2019年もいろいろとありましたが、いちばん大きな出来事というと、やはり上場です。2007年の創業から12年。みなさまのおかげを持ちまして、無事上場することができました。かなり慎重に準備を進めてきたのできれいな形での上場になったかなと考えております。
 上場はゴールではなく、あくまでも通過点にすぎません。今後はよりいっそう意欲的に新しいエンターテインメントを提供していきます。今後は調達させていただいた資金をもとに、また新しいIP作りを進めたいと考えています。

 ライブエンターテイメント事業に関してもさらに力を入れて伸ばしていきたい。例えば新日本プロレスは今期の動員が45万人ほどなのですが、先日、業務提携を発表した劇団飛行船は50年以上にわたりマスクプレイミュージカル(ぬいぐるみ舞台劇)を上演する業界大手です。国内だけで年間300公演を行なって50万人を動員しています。
 そのほかにもブシロードグループで行なっているライブやイベントで20万人ほど動員していますから、すべて合わせれば115万人になります。
 先月、グループ入りした女子プロレス団体「スターダム」の興業など、可能性のある事業にも力を入れて一気に伸ばしていく予定です。
 将来的にはブシロードが関わるリアルイベントの総来場者数を年間300万人にしたいと思っています。
 その来場者に、さらに何かサービスを提供するというビジネス展開も考えています。劇団飛行船、スターダムという2つエンタメ企業との提携を皮切りに、ほかのスポーツ団体や劇団とも積極的に提携やグループ入りしてもらうことを視野に入れていきたいと考えています。

 カードゲームに関しては新作カードゲーム『Reバース』の講習会が好調です。『Reバース』は、2014年まで展開されていた『ヴィクトリースパーク』(以下『Vスパ』)のシステムをリメイクした、さまざまな作品のキャラクターたちが登場する新作カードゲームです。『Vスパ』を見直し、調整したことで、よりキャラクターカードゲームらしいドキドキ感と爽快感を両立させたゲームシステムになりました。
 キャラクタービジュアルについては、『ヴァイスシュヴァルツ』(以下『WS』)との差別化を図ることを目的にデフォルメにこだわったのですが、これが結果的に非常にうまくいきました。このビジュアルによってほかのカードゲームとの差別化もできた。さまざまな作品からの参戦に関しても『WS』ともかぶることなく展開ができそうです。それに初めて遊ぶプレイヤーにもSDキャラなので若干ライトなイメージを持ってもらえることも大きい。ぜひ、カードゲームに触ったことのない人やアニメファン以外の人にも遊んでいただきたいですね。

 現在、600回の講習会を全国400店舗で開催中です。そのすべての講習会に、実際にアニメでキャラを演じている声優さんがやってきます。
 講習会に声優さんが参加することによって、カードゲームをやっていなかったアニメファン、声優ファンの人にも触ってもらう機会を作ろうという考えです。
 講習会でデッキが欲しくなった人は、その場でトライアルスタートデッキの予約することができます。講習会を実施した店舗には、その場で予約が入る。事前予約が集まれば店舗側も安心して発注をかけられるというわけです。

 最近はどのメーカーからも新作カードゲームのリリースが減ってしまいました。企画がなかなか通らない。ではなぜ新規の企画が通らないかと言うと、新規立ち上げの成功率が低いからです。その成功率の低さの理由は、新規のゲームには発注が来ないことが挙げられます。
 講習会と合わせて、丁寧な予約受注をその場で行なうことで、お店が安心して発注できる。
 講習会ではハーフデッキを配りますが、このハーフデッキだけを使ったベータ大会も行なっていきます。こちらはどちらかというとゲーマーの方向けに1月から各店舗で開催を予定しています。
 デッキを配って、大会もやって、講習会もやる。発売前にここまでやるカードゲームは今までになかった。来年春の発売に向けて、まったく新しいアプローチで新規ユーザーを獲得していきます。
 規模感としては、まずは『WS』の半分程度のシェアを目指します。

 2019年、ブシロードのTCGでは特に『WS』が好調でした。前期、過去最高の売上を記録しました。2020年も『新サクラ大戦』『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』といった強力なタイトルの参戦が決定していますし、楽しみにしていてください。
 『ヴァンガード』は2020年、10年目に突入します。スマホ向けゲームアプリ『ヴァンガードZERO』もついにリリースされましたし、10周年を記念したコラボブースターやタイアップで誰もが驚くような企画が来年の春あたりから続々と登場します。こちらは1月22日の戦略発表会でいろいろとお話しする予定です。

 アプリゲームに関してはリリースがされなかったり遅れたり、リリース後に一旦引っ込めたりと、いろいろとあった1年でした。デジタルはやっぱり詰めに苦労するなと感じています。

 2020年の目標は、ずばりカードゲームの復権です。新作も多く控えているので、今からドキドキしています。
 カードゲーム以外では新たなメディアミックスプロジェクト『D4DJ』に期待していただきたい。DJライブ×アニメ×ゲームで全く新しい世界をお届けする予定です。私の2020年の大本命。生涯ベストスコアを狙う作品になりそうです。2020年もブシロードにご期待下さい!