コラム「木谷高明の視点」

第41回 今求められているのは完全オリジナルの新規タイトル

2019年07月10日

 木谷です。3日(金・祝)、4日(土)に開催された「大ヴァンガ祭×大バディ祭2019+しろくろフェス2019」は、4,500席を用意したファイトエリアが連日満席となるほどの大盛況となりました。「大ヴァンガ祭×大バディ祭」を「しろくろフェス」と同時開催にした効果もあるのでしょうが、総来場者数は2万人を超え、昨年を上回りました。最近カードゲーム関連ではあまりいい数字がなかったのですが、これはうれしい数字と言えますね。
 2日目のエンディングステージで来年2020年も「大ヴァンガ祭×大バディ祭」と「しろくろフェス」が共同開催することを発表しました。日程は5月9日(土)と10日(日)。会場は今年と同じく東京ビッグサイト青海展示棟を予定しています。この開催発表もそうですが、今の時代は情報に連続性があったほうがいい。常に情報を出すというのが大事になってくる。ですから、来年の5月へ向けた継続的なイベントがあってもいいのかなと感じています。“Road toヴァンガ祭”のような形で、ファンのみなさんが盛り上がれる企画を考え、年間を通して何かしら繋がるようにしたいと考えています。

 5月18日(土)、19日(日)にメットライフドームで行なわれたPoppin'Party×SILENT SIRENの対バンライブ「NO GIRL NO CRY」も非常に盛り上がりました。ラジオの公録や上映会などを1週間連続で実施するイベント“バンドリ!ウィーク!”と共に今年前半のハイライト的なイベントになりました。

 数年前から新卒採用の就活開始時期が変わり、6月に各企業の選考がはじまるようになりました。2021年にはこれまでの経団連ルールも廃止され、さらに早期化することが予想されています。ブシロードが求める人材について私にはある信念があります。それは自由奔放に生きてきた人。なぜかというと自分で考えるクセがついているからです。
 たとえば数か月でもバックパッカーで世界を放浪すれば、いやでも身の危険を感じてどう行動するかを考える局面に立たされる。だから大学生のうちに、旅に出てみてほしいですね。海外のボランティアに行ってみるのもいい経験になるはずです。また、今までまったくやったことのないバイトに挑戦するのも意味があると思います。
 私自身もゼミの先生に勧められて、大学時代にいろいろなバイトを経験しました。飯場といわれる労働者の合宿所に住み込んで10日間ほど働いたことがあります。体力がないので、ちょっとスコップで掘るだけでも本当につらい。1日中やっていたらすごくお腹が減るので食べる量も多くなります。雑魚寝して、起きたら働くという生活を続けました。街の投資顧問のバイトも経験しています。電話をかけて勧誘するのですが結局1件も契約を取れませんでした。最後の押しが足りないから他の人に取られてしまう。ノウハウも何もないというのが自分でわかっているので、人を騙しているように感じてしまってうまくいきませんでした。
 そういった経験は就職してから何度となく役に立ちました。当時はなんとも思わないようなことでもあとで活きてくる。
 ブシロードで働いている社員を見ていても、よくそれを感じます。接客業の経験がある人はかわいがられ方がうまい。お客さんから気に入られつつも同性からの妬みを買わないテクニックを身につけている人が多い。
学生のみなさんには社会に出る前に、旅行でもバイトでも、できるだけ多くのことを経験していただきたいですね。

 今年はデジタルカードゲームからアナログカードゲームへの揺り戻りを感じます。トレーディングカードゲームは来年にかけてはさらに伸びていくと見ています。版権物のキャラクターカードゲームが少なくなったことで、『ヴァイスシュヴァルツ』にさらにメジャーなタイトルが集まるようになりました。
 『カードファイト!! ヴァンガード』はモバイルオンラインゲーム『ヴァンガードZERO』がリリースされれば、アニメにモバイルオンラインゲームと2つの武器がそろう。そうすればさらに多角的なアプローチが可能になります。ファン層の拡大や、以前遊んでいた人へのアプローチも非常にやりやすくなると考えています。
 『フューチャーカード バディファイト』はさまざまなタイトルを取り入れて展開していく予定です。「差別化」が今年から来年に向けてのテーマだと思っています。トレーディングカードゲームの既存のタイトルについては現在市場で上位を占めている他社の人気タイトルとの差別化をさらに明確にすることが急務になります。
 それぞれの詳細は戦略発表会をお待ちください。

 今、トレーディングカードゲームファンは、完全オリジナルの新規タイトルを渇望しています。やはり、新たにトレーディングカードゲームで遊ぶなら、新作ゲームをやってみんなと同じスタートラインで始めたい。現在製作中の新作タイトルでは、そういう人たちを取り込みたいと思っています。皆さん、同じトレーディングカードゲームで遊ぶことにそろそろ飽きてきている。
 いいタイミングでリリースすることができれば、大ヒットする可能性は高い。ただ、今は何が成功するかがわからないので、他の会社からもしばらく新しい企画は出てこないんじゃないかと見ています。
我々の新作トレーディングカードゲームの詳しい情報は7月18日(木)に開催する戦略発表会で、概要やスケール感なども話せるかと思います。かなり大きなプロジェクトを予定しておりますので、こちらもご期待ください!