コラム「木谷高明の視点」
第39回 アプリを中心に組み立てるビジネススタイルの拡大
2018年12月27日
※本記事は2018年11月時点のインタビューに基づく『カードゲーマーvol.43』掲載分を加筆・修正したものとなります。
木谷です。「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のスマートフォン向けゲーム『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-(スタリラ)』が好調です。リリース第1週の無料ダウンロードランキングではiPhone、Androidともに1位を獲得し、ゲームセールスランキングでも10位内に食い込む上々のスタートとなりました。現在もランキング上位をキープしています。
おかげさまでアニメ、舞台、ゲームという流れがうまくはまり、今回も“電撃戦”が成功した形です。“航空戦力”である、アニメ、音楽、ライブが攻め込んだあと、最もパワーのある “機甲師団” 、つまりアプリゲームの快進撃が成功しました。あとはここから “歩兵”である各種グッズ類やカードゲームをリリースしていく予定です。
「スタァライト」は舞台も好調で、今年10月に行なわれた公演の再演が来年7月に決定しました。前回の公演で実施した全国の映画館でのライブ・ビューイングは、6300席の客席が95%が埋まりました。次回は上映館をさらに増やす予定です。このライブ・ビューイングも今後、大きなコンテンツになっていく可能性を感じています。
順調なアプリがある一方で、残念ながら『トリプルモンスターズ』は年末でクローズすることが決定しました。楽しんでいただいている方には大変申し訳ないのですが、今回『トリモン』で学んだことは、来年リリース予定の『ヴァンガードZERO』につながると思っています。
2019年は、『ヴァンガードZERO』と『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』に加え『カードキャプターさくらハピネスメモリーズ』と、アプリゲームは多くの話題作のリリースを予定しています。
今年1年でブシロードが確立した「アプリを中心に他のビジネスを組み立てていく」というスタイルは来年さらに拡大する予定です。アプリゲームに関しては、まだ発表できませんが他にもいろいろと新しい企画が動いています。
年末の12月30日(日)には渋谷のクラブで、今後につながる実験的なDJイベントを開催する予定です。こちらもぜひ注目していただきたいですね。
また、新たなチャレンジとして、中国ですでに発表されたゲームをローカライズして日本でリリースするプロジェクトをスタートしました。そのうちの1本が11月にリリースされた『九州三国志』です。2本目は来年春頃のリリースを予定しています。『九州三国志』では、もともとなかったオープニングムービーを、「バンドリ!」のRAISE A SUILENの曲を使って製作しています。もう1本のタイトルについても、ブシロードらしさが感じられるローカライズを目指していく予定です。
日本のスマホゲームのマーケットは来年以降、海外メーカーにかなりシェアを奪われるんじゃないかと私は見ています。
たとえば最近、中国のゲームメーカーの日本進出が目立ってきています。中国のゲームやアニメの配信ビジネスは、政府の方針によって、大きな規制が入る可能性が高い。今後、どうなるのかわからない状況なので、どこも新天地を求めて、日本支社を作り始めています。
スマホゲームがヒットして一気に業績の伸びた日本の企業は、そのゲームを発売する前は、何かしないと潰れるようなギリギリの状況だった会社が多い。だからこそ冒険ができた。その冒険がヒットを生み出したわけです。
今は7~8割の会社が減益で、赤字になってきているところも多い。ですから社内で企画を通す段階で、どれだけ成功の確率があるのかと問い詰められる。
そうなってしまったらもうなかなか面白いものは出てこない。そんな状況で、退路を断って海外から日本へ進出してきた人たちを相手にしないといけない。
働き方改革で定時になったら帰ることを義務づけられてる人たちと、負けたら死ぬ覚悟で来ている人たちとではどっちが面白いものを作れるのか。ですから、来年は海外メーカーからヒット作が生まれる可能性が高いですね。
出版業界は不況が続いていますが、「月刊ブシロード」が好調な売れ行きを記録しました。10月発売号にRoseliaのライブの抽選応募申込シリアルを付けたところ、これまで横ばいだった販売部数が一気に増えた。
今、本の発信力が弱まってきています。そもそも書店に来る人が減っているから、これまでと同じ発信をしても、受信できる人が減っている。だからこそ話題性を優先して、とにかくみなさんが欲しくなるものを付けることにしました。その結果、好調な売れ行きとなりました。
雑誌に応募券を付けると、まず「雑誌を買わなきゃ!」とTwitterでつぶやいてもらえます。そのツイートで、「バンドリ!」や「スタァライト」の漫画が連載している雑誌があったんだ!と、初めて気がつく人が必ずいます。
付録をきっかけに購入した人が、今後、購読してくれるかもしれませんし、複数購入した人が余った本を友達にあげることでも、新しい読者が増えていくはずです。
じつは月刊ブシロードは年内で廃刊する予定でした。ですが、先日、続けていくことが決まりました。「ヴァンガード」「バンドリ!」「スタァライト」の3つのヒット作の漫画が掲載されている雑誌には、まだ可能性がある。付録という1つ突破口を見つけたこともありますが、この雑誌をなくしてしまうのはおかしいだろうと考え直しました。読者の読みたいページを増やして、来年は一気に立て直す予定です。
アナログカードゲームに関しては、「ブシロードワールドグランプリ2018」の動員が昨年と比べて増えたり、今年は、地味ではありますが、やはりアナログ的な楽しさが再認識された1年でした。
来年も、アナログならではの魅力をさらに高めていきたいと思っています。12月21日(金)に発売になった『ヴァイスシュヴァルツ』の「スタァライト」のブースターパックも、コレクター要素の高い商品になっています。先行して舞台版1stシングルに封入された三森すずこさんの直筆サインカードはシリアルナンバーが入った99枚限定でしたが、デジタルに対する差別化になりました。
今後もトレーディングカードとしての楽しみをさらに追求しようという気持ちでいます。デジタルではできない、グッズとしての価値を出していきたいですね。
12月27日(木)から「バンドリ!」や「スタァライト」の一挙配信も始まります。さらに、1月2日(水)の23時30分からは「24時間 バンドリ!TV」もありますので、ぜひこの機会に、お正月から「バンドリ!」づくしを楽しんでいただきたいですね。
1月4日(金)の新日本プロレス、東京ドーム大会のチケットの売れ行きも好調で、動員4万人に届きそうな勢いですし、年末年始から突っ走ります!
来年もブシロードグループにご期待ください!