コラム「木谷高明の視点」

第36回 子供たちに興味を持ってもらうことの重要性

2018年06月13日

木谷です。『フューチャーカード 神バディファイト』の完全無料アプリゲーム『バディスマ!!』が6月1日にリリースされました。無料アプリのランキングでカード部門1位を獲得するなど好調です。アニメの方も6月2日から新シリーズが始まりましたし、新たに始める子供たちが一気に増えると思います。

今回のアニメは、仲間と一緒に戦うというコンセプトはこれまでと変わりませんが、主人公の友牙はユーチューバーになりました。他にも現代の子供たちのニーズに合せて、YouTubeの『コロコロチャンネル』等で、さまざまな展開を予定しています。今月15日発売の『コロコロコミック』では完成済みデッキも付録になりますし、多くの子供たちに興味を持ってもらいたいですね。

もうひとつ、新しい試みとして、主人公の友牙の声をブシロードのグループ会社、響所属の男性声優・真野拓実が担当しています。子供向けアニメの主人公の少年の声は、女性声優が担当するのが、現在のアニメ界ではほぼ常識となっています。 しかし、今回、無理を言って男性声優の起用をお願いしました。理由は子供たちの反応です。小学生低学年の子供たちが集まるイベントで“中の人が登場!”となったときに、女性の声優が出てくると子供たちがみんなポカーンとするんですよね。なんで女性なの? となってしまう。それを変えたかったんです。 さらに、真野本人もアニメのキャラと同じくインターネットで動画配信を行なう予定です。中の人と外の人が同じように活躍することで盛り上げていこうと思っています。

4月29日、30日に「大ヴァンガ祭×大バディ祭2018」が開催されました。『ヴァンガード』『バディファイト』のどちらも新シリーズ開始前の端境期にあって、タイミング的に発表できないことが多い時期での開催となってしまいましたが、そのような状況でも17,686名の方々にご来場いただきました。今回も3,500席のファイトスペースが完全に埋まってしまうのですから、まさに世界最大規模のカードゲームイベントだと思います。

来年の『大ヴァンガ祭×大バディ祭』は5月3日、4日の2日間開催で、『ヴァイスシュヴァルツ』も加わったさらに大きなイベントになる予定です。来場者数でも今年を大きく上回るイベントを目指しますのでご期待ください。

4月にリリースされたスマートフォン向けアプリ、デジタルカードファイト『トリプルモンスターズ』(以下『トリモン』)も好調です。配信開始から5日で50万ダウンロードを突破したのには驚きました。これまでもデジタルとアナログの融合を目指し、『ファイブクロス』『ジーンクロス』『Cardfight!! Online』『ラストグノウシア』とオンラインカードゲームを開発してきましたが、どれもあまりうまくはいきませんでした。結果を見ると、そう言わざるを得ない。しかし、カードゲームで世界一を目指す当社としては、やはりデジタルカードゲームは避けて通れないチャレンジと考えて、開発を続けてきました。その努力がついに実った形ですね。

『トリモン』はライトユーザーに寄せた遊びやすさ重視のゲームデザインとなっています。そのため、カードゲームファンからすると少し簡単すぎると感じる部分がある。 “もっと複雑にしてほしかった”という意見もいただきますが、じつはまだまだ“難しい”という意見が多い。『トリモン』は本当に手軽に遊んでほしいという思いで、あえてライトな方向を目指して製作したのですが、ここまでやっても、まだまだ壁がある。 キャラクターが好きでゲームを始めた人にとっては、どうしてもカードゲームが難しいという印象になってしまう。逆に面白いと絶賛される方は、サクサク手軽に遊べるという部分を評価されていることが多い。やっぱりカードゲームは慣れているかどうかで感じ方が変わってしまいます。

リソース管理やデッキ構築、カード同士のシナジーといったカードゲームならではの要素は、理解して実践できるようになるまでにはどうしても経験の差が出てしまう。さらにデジタルから入るとなると、かえって理解するのが難しくなる部分もあってさらに取っつきにくくなる。今回の『トリモン』で、カードゲームというジャンルでリリースしたアプリゲームは、年齢を問わず、ジャンルを超えて広がることは不可能だと実感しました。 やはりカードゲームは、初心者の方にとってはやることが多すぎます。そこはどんなにユーザーフレンドリーにゲームシステムを作ったとしても埋まりません。 だからこそ、小学生の頃からカードゲームを遊んでもらうというのが大事だなと改めて思いました。子供たちがカードゲームで遊ぶきっかけになるように、アニメやYouTubeにはもっと力を入れていこうと思います。

『トリモン』はブシロードのグループ内でのタイアップを今後もどんどん増やすつもりです。先日も『ミルキィホームズ』『イナズマデリバリー』、それに当社のキャラクター、カードゲームしよ子のコラボが発表されました『ラクエンロジック』、や、海外のみで展開していた『ドラゴボーン』のイラストも使用していく予定です。“ブシロードグループのカードゲーム”という位置づけに持っていきたい。とんでもなく大げさな言い方をすると、“ブシロードのアベンジャーズ”みたいなものですね。 先月発表となった年間賞金総額1000万円となる賞金制大会は8月と12月の2回行ないますが、予選、本戦共にオンライン上で開催します。ですので、地方の方々も気軽に参加してほしいですね。『トリモン』に関しては、そのように、スマホで気軽に楽しんでもらえるゲームとして展開していきたい。リリースを冬に控えている『カードファイト!! ヴァンガードZERO』に向けてのいい流れを作っていきたいと思っています。

7月からアニメが始まることが決定した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を筆頭に、夏にかけて新たな大きな発表もいくつか予定しています。今年の夏も攻めて攻めて攻めまくります!