コラム「木谷高明の視点」

第33回 「これからのプロモーションは〝共感〟と〝協力〟が重要」

2017年12月01日

木谷です。10月20日に行われた定時株主総会にて、ブシロードの社長を退任しました。

理由は、コンテンツ作りの最前線での陣頭指揮を執りやすくするためです。現在は「コンテンツ本部長」と「広報宣伝部長」、それに「ブシロードミュージック社長」を兼任しています。さらに今後は「TCGプロジェクト総責任者」としてカードゲーム業界を盛り上げて行こうと考えています。

退任から1ヶ月が経ちましたが、私自身はいろいろと動きやすくなりました。会社全体のことを考える時間が減って少し気が楽になった分、同じくらい大変な仕事も増えているので、忙しさはじつはあまり変わっていない印象です。最近(日本滞在時)は連日、次から次へとすごい数のミーティングに参加しています。そのほとんどがコンテンツ絡みで、私が中心になっているのもあれば、オブザーバー的に参加しているもの多くあります。

今はまだシンガポールにいる時間が長いので、本格的に動くのは来年日本に戻ってからになりそうです。

10月29日にインテックス大阪6号館B、C、Dの3つのゾーンを使用して、ブシロード関西初の大規模イベント「ブシロード10周年祭in大阪」を開催しました。大阪での初めての大型イベントであり、台風が接近していたにも関わらず、延べ10,254名にご来場いただきました。アナログのカードゲームと『ガルパ(バンドリ! ガールズバンドパーティ!)』のイベントを同時開催にしたことで、両方を楽しんでくださった方も多かったようです。それぞれの裾野をうまく広げることができたと思っています。

4月の横浜から始まり、5月の東京ビックサイト、7月の米国カリフォルニア州ロングビーチ、9月のシンガポール、そして10月の大阪と5つのイベントを開催し、おかげさまで大成功を収めることができました。 

10周年を記念するイベントを国内外さまざまな地域で開催できたことで、非常に満足しています。

第6弾として、12月9日、10日にミルキィホームズのライブとキックボクシングイベントKNOCK OUTの大会を2日間連続で開催する「ブシロード10周年 FINAL 2DAYS in 両国国技館 大ミルキィホームズ十二月場所 & KING OF KNOCK OUT 2017」を行います。10周年の締めくくりとして盛大なファイナルイベントとなりますので、楽しみにしていてください。

来年以降、エンタメ業界で最も重要となるキーワードは〝個の発信力〟だと思います。

今、マスの広告の力がどんどん弱まっており、特に2020年のオリンピック以降は、テレビの影響力が急激に下がると考えています。入れ替わるように、ネット媒体の重要性が高まり、個人の発信力がさらに重要視される時代がやってきます。キーワードは、マス広告+YouTubeやTwitterなどのSNSです。それにしても、プロモーションはおもしろい時代に入ったとも言えます。今年は、恒例のブシロード年末年始特番も、いつもと違った放送を予定しているので、そちらも皆さんに楽しんでいただけることと思います。

最近、研修などでも話していることですが、「〝共感〟と〝協力〟」この2つの言葉が、次世代のプロモーションにおいてポイントになってくるはずです。

お客さんは共感してくれれば、協力して一緒にプロモーションしてくれる。つまり、まずは共感してもらうことが大事なんです。これは社内の関係においても同じです。1つのプロジェクトに対して、他部署から「うちはこの商品作らせてよ」とか、「うちの番組で宣伝するよ」など、自然に声が上がるようなお互い協力し合える関係にならないと、力は増しません。つまり、トータルプロデュース的な力が非常に大切な時代なんだと考えています。私が現場セクションのトップに就いたことで、今後はそういった力を高めることに注力していこうと考えています。

スマートフォン向けゲームの業界は、より競争が激しくなっています。今まで以上に、中国をはじめ各国から大型タイトルの登場も予想されます。そのなかで、今後はアナログとの結び付きが重要になります。他メーカーのタイトルでも『ガルパ』のようにライブがセットになっているものは少ないと思います。そこがブシロードの強みです。アナログな展開、音楽ライブとマーチャンダイジングとを結びつけたものを徹底的にやっていくつもりです。

アニメとミュージカルが相互にリンクする「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の再演も楽しみですね。「BanG Dream!(バンドリ!)」も来年5月12日、13日に幕張メッセで5thライブを予定しており、両日で2万人以上の動員を目指すなど着々と大きくなってきている。来年は新たな展開を考えていますので、そちらも期待していてください。

アナログTCGに関して、来年はマーケットとしての生き残りをかけた勝負の年になるはずです。先日、池っち店長(池田芳正氏)のTwitterのつぶやきに誤字があり〝TCG部門〟が〝TCG武門〟になっていたんです。それを見て、これはいい! と感じました。来年は、まさにそれくらいの強い覚悟を持って、最前線で戦わなければいけないと思ってます。

また木谷がヘンなことを言いだしたと思われるかも知れませんが、現場のトップにいるからこそできることがあります。他の会社の方と話すと、社長を辞任したということは、前線から退くと思われていることが非常に多い。でも、それは違います。

来年は前線から、さらに最前線に出て派手に戦っていきます。2018年、攻め続けるブシロードの戦いにご期待ください!