コラム「木谷高明の視点」
第56回 カードゲーム業界を変える第4の波
2026年02月06日
木谷です。今回は、カードゲーム業界の行方を左右する大きな潮流について語りたいと思います。結論から言うと、昨年からカードゲームには“第4の波”が押し寄せていると考えています。第4の波とは、ずばり多言語同時展開とグローバル展開です。
“キャラが尽きない”という幻想を追って
順を追って説明します。まず、カードゲーム第1の波~第3の波とは何か。
トレーディングカードゲームはどうなったら終わってしまうのかを想像してみてください。もちろんユーザーがいなくなったら寿命が尽きてしまうわけですが、制作側が限界を迎えてしまうこともありえます。まず考えられるのは「カード化できるキャラクターがなくなってしまう」ということです。単純に思えますが、実はこれが大きな障害になります。
そこに革命を起こしたのが、1993年に発売された「マジック:ザ・ギャザリング」です。トレーディングカードゲームの元祖である「マジック」の世界観はオリジナルなので、クリーチャーを無限に創り出すことができます。なのでカード化できるキャラクターが尽きることはない。「マジック」は元祖にして、当初から“ずっと続けられる”仕組みを内包していたんです。これが第1の波。
その後登場した「ポケモンカードゲーム」も、原作のゲームソフトが出るたびにモンスターの数は増えていきますので、キャラクターが尽きてしまう心配はありません。「遊戯王」や「デュエル・マスターズ」、そして当社の「カードファイト!! ヴァンガード」も第1波の亜種と言えます。「ヴァンガード」だと舞台は惑星クレイになりますが、主人公はゲーム内の架空の世界でカードファイトを繰り広げます。この架空世界もオリジナルですから、キャラクターが尽きることはありません。
カードゲームを継続的に展開するには、“キャラクターは永遠に尽きない”という幻想を作ることが必要で、それこそがトレーディングカードゲームというジャンルを成立させるために必要な条件だったのです。
第2の波は、当社が2008年に発売した「ヴァイスシュヴァルツ」です。「ヴァイスシュヴァルツ」は、いろいろなアニメやゲームからキャラクターをお借りして登場させます。そのため、やはりキャラクターが尽きるという心配はありません。「ヴァイスシュヴァルツ」に代表される“キャラクター混載型”のカードゲームは他社からもさまざまなタイトルが発売されています。キャラクターを永遠に生み出せる第1波に属するタイプか、人気キャラクターを次々登場させられる第2波のタイプ。カードゲームといえばこの2つのタイプのどちらかという時代が長く続きました。
そして第3の波は、2022年に発売された「ONE PIECEカードゲーム」です。「ONE PIECEカードゲーム」は、それまでのカードゲーム業界の常識を打ち破り、単体の作品が原作であっても継続的な展開が可能であることを証明しました。もちろん、作品の歴史の長さやキャラクターの多さ、そして作品自体が世界的に人気を得ているといった条件が必要ではあるものの、業界へのインパクトは絶大です。それ以降、ビジネススキームはそれぞれ異なりますが、ブシロードでも「五等分の花嫁 カードゲーム」や「ラブライブ!シリーズ オフィシャルカードゲーム」といったタイトルを世に送り出してきました。
第3の波の影響はカードゲーム業界内のみに留まりません。今年から来年にかけては、さまざまなエンタメ企業から、作品単体が原作の新作カードゲームがリリースされていくと予想します。
カードゲームも国際化の時代に
そして時代はすでに、第4の波を迎えています。改めて第4の波とは、カードゲームの多言語同時展開とグローバル展開です。この2つが、カードゲームの新規立ち上げに必須の要素になりました。
たとえば、日本語版のカードゲームを出した後、1年半後に英語版のカードを出すようでは遅すぎます。発売が遅くとも英語版のカードがまったく売れないわけではありませんが、日本語版・英語版同時発売に比べれば売り逃しは大きいでしょう。ユーザーの立場からしても、何が強いカードかすっかりわかってしまっている商品には、あまり興味をそそられないですよね。カードゲーム市場はやはり日本と米国が大きくて、そこに中国などその他の国が入ってくるという状況ですから、日本語版と英語版は最低限同時展開の必要があります。
カードゲーム業界は、昨年から多言語同時展開とグローバル展開が当たり前の時代に移行したと感じています。
当社においても、今年7月に発売する「パルワールド オフィシャルカードゲーム」は、日本語版と英語版、中国語(簡体字)版を同時発売します。今後リリースする新作についても、同様に多言語同時展開を考えています。
記念イヤーを盛り上げる施策の数々
カードゲーム業界は大きな変化の最中にありますが、引き続きブシロードは積極的に仕掛けてまいります。
当社は現行のカードゲームだけで11タイトルを運営しています。取り扱いタイトル数では世界一のカードゲームメーカーだと思います。これからも毎年1つか2つは新規タイトルをリリースしつつ、「カードファイト!! ヴァンガード」と「ヴァイスシュヴァルツ」については、よりグローバルな展開を志向していきます。
そして今年は「ヴァイスシュヴァルツ」18周年、「ヴァンガード」15周年になりますので、各種キャンペーンを用意しています。
「ヴァイスシュヴァルツ」と「ヴァンガード」は、それぞれ記念ピンバッジを制作します。「AnimeJapan 2026」での配布を皮切りに、「カードゲーム祭2026」などの各種イベントで配布いたします。また、記念冊子も制作しますので、ぜひ手に取っていただきたいと思っています。ひとつの区切りとなる2026年を、全社を挙げて盛り上げていきます。

「ヴァンガード」発売からぴったり15年目の2月26日(木)に発売となる「ぶっちぎりスタートデッキ」2種は、どちらも大変多くのご注文をいただきました。想定をはるかに上回る受注のため、生産数を増やせないか現場と緊急会議をしております。プレイヤーの皆さまの「ヴァンガード」にかける熱い思いをひしひしと感じています。この場を借りて御礼申し上げます。
また、来年はブシロード創立20周年の記念イヤーとなります。そこで、まだ正式決定ではないのですが、ゴールデンウィークの「カードゲーム祭」は規模を拡大して、販売終了したタイトルを含め、これまでブシロードが発売したすべてのタイトルで大会を開催したいと思っています。ブシロードの20年を支えてくださったプレイヤーの皆さまへご恩をお返しするとともに、世界で一番大きいカードゲームイベントを目指します。
それから直近の話題としては、なんといっても7月発売の「パルワールド オフィシャルカードゲーム」です。とても面白いゲームに仕上がったので、私も1人のプレイヤーとして楽しみたいと思っているほどです。ぜひ今後開催される体験会に参加してみてください。
創立20周年に向け、ブシロードは走り続けます。今回記した以外にもさまざまな企画を準備していますので、今後の発表にご注目ください。