コラム「木谷高明の視点」
第30回 「IP作りと横への広がり、それが生み出す大きなうねり」
2017年04月03日
社長の木谷です。
まずは、この春に進学と就職をされたみなさま、ご入学、ご就職おめでとうございます。新入生、新社会人としてこれからのご活躍を期待しています。私は赴任中のシンガポールから、年内に帰国することとなりました。理由は、やりたいと思っていたことが今年の年末頃に完了するというのがひとつ。もう少し期間を延ばすという選択肢もありましたが戻ることに決めたもうひとつの理由は、やはりEU離脱やトランプ大統領の就任などで、世界が反グローバリゼーション側に振れてしまったことです。
それによって日本国内も含めた海外戦略の見方を再定義しなければいけなくなりました。これまでブシロードは7割が日本、3割を海外に比重を置く形で、さまざまな事業を進めてきました。その結果、現在日本からの輸出とシンガポールでの英語版の販売、その他グッズの海外売り上げの合計が全体の15%程を占めています。しかし今後、海外戦略にはてこ入れが必要になってくる。これまでの比率を7:3から8:2に変更しようと思っています。海外向けの2割のうち1割はアニメ配信やアプリ配信などのオンライン配信になる予定です。優先度は1に日本、2に海外向けオンライン配信、3に米国4にアジア。ただ2と3はかなり開いています。そしてさらに開いて4にアジアマーケットという順番になりそうです。
前回も少しお伝えしましたが、帰国後はキャラクターや作品などのIP(知的財産)作りに専念する予定です。現代は、強力なIPがあれば突き抜けて一気に海外まで届きます。ですからここからは強力なIPを作ること、もしくは今あるものをもっと磨いていくことに注力すべきだと考えています。それに、今後は強力なIPを作った際の展開力が非常に重要になってきます。 アプリを中心にしたカードゲーム、音楽、グッズ。さまざまなジャンルでの展開が新たな話題を生み、さらなるヒットにつながるからです。 今後はIPを軸にした〝横への広がり〟を重要視していきたいと考えています。それを今、最も展開しているのが『BanG Dream!(バンドリ!)』です。その甲斐あって、GLAYのHISASHIさんがツイッターで呟いてくれていたりと、全国の楽器店の方々や、バンドマンの方々など音楽関係者の注目が集まっています。
アニメ役柄と同じ担当楽器を声優が実際に演奏するPoppin’Party についても、アニメファン以外のみなさんが興味を持ってくれています。彼女たちの演奏を観てまず驚いてもらえるのは嬉しいですね。Poppin’Party はお客さんの数が一気に増えて、8月21日には日本武道館で4thライブも発表されました。先日、スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』もリリースされたので、すそがさらに広がりそうです。バンドの活動から始まった『BanG Dream!』というプロジェクトが、アニメ、ゲームを経て、より大きなうねりになっていく。さまざまな角度から作品に新たな光が当たり、新規のファンを生み出しながら横へ横へと広がっていく。このような展開を今後、さまざまな作品で行っていきたいと思っています。
新たな企画もいろいろと用意しています。たとえば作品に『響』所属の声優さんが参加していれば、グッズの発売日に声優さんに手渡ししてもらう。そういったこれまでにあまりないイベントを行っていきたいですね。他にも今年からプライズ(クレーンゲームなどの景品)も手がけたりと、新しい展開を始めています。まずはメディアミックスを盛り上げる多面的な展開を見据えた下地、体制をしっかり作って、来年からはそれをしっかりと運用していきたいですね。
今年はブシロードが設立10周年ということで、4月30日にはブシロードの設立10周年を記念したライブ『ミルキィホームズ&ブシロード10周年&スクフェス4周年記念ライブ in横浜アリーナ』が行われます。さらに5月5日(金)~7日(日)(※5日(金)は夕~夜の物販のみ)に東京ビッグサイトで開催する『ブシロード10周年祭』は、大ヴァンガ祭×大バディ祭2017、しろくろフェス2017、その他のカードゲームイベントにスクフェス全国大会&ミニ感謝祭2017(東京会場)もある、この10年の集大成のようなすべてを詰め込んだイベントを予定しています。楽しみにしていてください!