コラム「木谷高明の視点」

第23回 「2015年のカードゲーム業界と2016年のブシロード」

2016年01月02日

ブシロード社長の木谷です。2016年最初のコラムです。

改めまして明けましておめでとうございます。2015年の年末は本当にうれしいことが続きました。まず、大晦日の第66回NHK紅白歌合戦にμ'sが出場しました。これは1年前には想像もしていなかったことです。さらに3月31日と4月1日に東京ドームでμ'sのライブが行われます。東京ドームでの公演はアニメコンテンツとしては初めてとなる快挙です。全世界でユーザー数が2000万人を突破したブシモの「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」のヒットや、響所属の三森すずこと、徳井青空が所属するμ'sとしての活躍などブシロードグループとしてもその偉業を達成されるのは本当にうれしいですね。

アマチュアレスラーを育成するプロジェクト・ブシロードクラブの所属第1号選手・山口剛が昨年12月22日に天皇杯の97kg級で4連覇を達成しました。夏のリオデジャネイロ・オリンピックへの出場も夢ではなくなってきたのでこれからもぜひ頑張ってほしいです。同じグループ内に紅白に出演する声優と、オリンピックへの出場が濃厚なレスリング選手がいる。そんな企業はなかなかないですよね。今年もエンターテインメント市場をさらに盛り上げていきたいと思います。

今月、28日に発売される新作カードゲーム「ラクエンロジック」はおかげさまで国内外からすでに注目が集まっています。他社の美少女カードゲームがすでにマーケットを築いている中で、発売前から新しい美少女カードゲームとしてすでにユーザーに認知されはじめているのは驚きですね。すでに世界中のショップやデストリビューターから英語版の問い合わせが多く、そちらも視野に入れて動いています。これまでの弊社のカードゲームとは異なり一層のやりごたえのあるゲームシステムに対してユーザーからの期待の高さを感じます。話題先行で登場前からすでに大物感が出ている。既存の「カードファイト!! ヴァンガードG」、「フューチャーカード バディファイト」、「ヴァイスシュヴァルツ」と並んで、ブシロードの新しい柱になってくれることを期待しています。

業界全体を見ると昨年は寡占状態が続きました。これまでは上位だろうと下位だろうと関係なく、調子のいいものはいいし悪いものは悪かったです。売上げ上位のものはすべて調子が良く、下位は全部悪くなってきた。例外はほんの一部です。これはスマートフォンのゲームの売上げにとてもよく似た傾向ですね。ユーザーがランキングを見て1位のゲームだったら間違いないだろうとダウンロードする。その結果、ランキング上位のゲームはさらにそれで人の集まり、10位以下のゲームは猫の目のようにコロコロ変わる。お客さんが若干保守化していると言えるでしょう。世の中の情報量が多すぎるのが一因なのだと思います。

ですから今年は消えていくカードゲームも多くなるはずです。今までのカードゲームの閉じ方って知らない間に消えている、流れ解散のような形が多かった。これからはそれではいけない。始め方も大事ですけど、終わり方も非常に大事な時代になってきたかなと思います。お客さんは各社の終わり方も見ていますからね。

そういった業界の背景もあってか、現在の新規出店はチェーン店が中心に伸びています。人気がないゲームはすぐに終わる時代、お客さんは人気のある定番ゲームをチェックして購入するほうが安心なのかもしれません。

個人経営者がSNSやブログなどでガンガン情報を発信し、味のある有名店長、名物店長たちが各地に生まれて、彼らがブームを作っていく。そんなカードゲーム業界ならではの情報発信の形も今後変わってくるかもしれません。久々にマーケットは確実に大きくなりそうな流れがありますし、新規参入も多いのですがそうなることで業界自体に味気がなくなってしまうのは、個人的にとても残念ですね。その"味"の部分をブシロードがサポートしていかなければと思っています。

今年、弊社はなんとか業界シェアの25%を取りたいと思っています。そこでキーになるのは新作「ラクエンロジック」と、既存のもので大きく伸びる可能性がある「フューチャーカード バディファイト」。安定した「ヴァイスシュヴァルツ」と「カードファイト!! ヴァンガードG」を足場にその2大タイトルを大きく伸ばしていくというのが2016年の目標ですね。

さらに「ラブライブ!スクールアイドルコレクション」というライトユーザー向けカードゲームを3月18日に発売します。ここ数年、新たに入ってきた新規ユーザーの人たちのほとんどは、過去にカードゲームを遊んだことのある復帰組というのが現状です。今年は完全な新規ユーザーの開拓、カードゲームをやったことがない人にどうやってカードを触ってもらうかも業界全体のテーマになるでしょう。

カードゲームユーザーのスマホゲームへの流出もいったん落ち着いて、次はオンラインカードゲームという新しい波が来ています。そちらの展開も含めて、2016年は業界全体が久々にリバウンドを期待できる年になりそうです。

弊社も業界をさらに盛り上げるさまざまな企画を検討中です。2016年もブシロードグループにご期待ください!