コラム「木谷高明の視点」

第29回 「ブシロード10周年目の挑戦と展望」

2017年02月15日

ブシロードの木谷です。

今年はブシロードが設立10周年となります。今年の課題はオンラインTCGにどう取り組むか。そして、オンラインTCGにどう対抗していくか。矛盾するところもある2つのテーマですがTCGに関してはこの2つを念頭に取り組んでいきたいと思っています。

アナログカードゲームに関してはアナログならではの楽しさを再構築して、再定義するべき時期に来ている気がします。気軽にプレイできるという部分だけを特化すればデジタルには敵いませんが、アナログの魅力、あえてアナログで遊ぶ楽しさを伝えるべく、新たな提案をしていきたいと思っています。

たとえば3月に発売する『スクコレ』のクリアファイルにカードを付けた「ラブライブ!スクールアイドルコレクション キラキラカード&クリアホルダーセット Part1」もそのひとつです。コレクション性とグッズ性を少し上げた商品です。さらにそこに新規カードが付くことで環境も少し変化します。そういった商品や企画を次々に投入して、アナログならではの新たな展開を模索していきたいですね。

4月30日の「ミルキィホームズ&ブシロード10周年ライブin横浜アリーナ」、5月5~7日のビッグサイトで行われる「ブシロード10周年祭」を筆頭に、今年はたくさんのイベントを予定しています。

5月の記念祭はビッグサイトのアトリウム、西1、3、4、を使ったかなり大きなイベントになります。過去のカードゲームを含めた展示や、販売を終了したゲームの大会も、できれば開催したいと思っています。

さらに今年は大ヴァンガ祭×大バディ祭を7月にロサンゼルスで開催します。こちらは新日本プロレスの興行「G-1 SPECIAL」と同じロングビーチ コンベンション&エンターテイメント センターという広めの会場で行う予定です。 それぞれのイベントについて詳細が決まり次第、随時発表していきますので楽しみにしていてください。

米国で発売する新作TCGは8月頭にリリースすることが正式決定しました。これは現在のところ英語版のみの展開を予定していますが、ヒットして国内での要望が強くあれば、逆輸入する可能性はあります。アナログTCGの国内完全新作タイトルについては、もうしばらく先の、2年後あたりを目標に進めています。

今年は既存のタイトルを盛り上げることに専念していきたいですね。ラクエンロジックの新シリーズ、「ひなろじ~from Luck & Logic~」が今夏より放送開始することも決定しました。こちらも続報をお待ちください。

1月21日からアニメ『BanG Dream!』(バンドリ!)の放送が始まりました。

放送はインターネットテレビ局・AbemaTVより独占先行配信をしています。そうすると、一見、地上波の視聴率が下がりそうですが、ネット上で話題になることで気づく人や、スマホで見たけどやはり大きい画面で観たいという人も多いので、地上波も好調なようです。さらに地方の人や忘れた人にも観てもらえるようにBS11、BSフジの、2つのBS局で放送されています。こちらも今までになかった新しい試みです。

15年1月に『月刊ブシロード』誌上でコミックの連載がスタートしてからちょうど2年。ついにアニメ放送が始まり、今春にはアプリゲームもリリースになります。声優ユニットがバンド形式で演奏してライブを行うPoppin'Partyがおかげさまで好評です。メンバーが作中のキャラクターと同じ楽器を演奏するというスタイルは、楽器をやったことがない人からすると簡単そうに見えるのですが、演奏しながら歌うというのは想像していた以上にたいへんでした。主人公の戸山香澄役を演じるボーカル&ギターの愛美に関してはいちばん最初のメンバーで相当なプレッシャーもあったと思います。

2年前に小さなライブ会場からスタートしたPoppin'Partyでしたが、昨年末には3rdシングル「走り始めたばかりのキミに/ティアドロップス」がオリコン10位にランクインしました。結果が着いてくるのは大事なことです。最近はライブチケットがすでに手に入りにくい状態が続いていますし、今年はさらに大きいステージへと進むことになりそうです。

『BanG Dream!』は、関係者のあいだで初期段階では新宿プロジェクトと呼ばれていました。その名残がキャラの苗字。戸山、花園、牛込と、新宿区内の地名になってます。なぜ、新宿だったかというと、いわゆる〝秋葉原〟に対する逆をやりたかったからです。秋葉系のコンテンツは、クラスメイトに宇宙人がいたりとか、耳が生えてたり、少し現実離れしているところがある。『BanG Dream!』も、もちろん広い意味では秋葉系なのですが、等身大の女の子のバンド活動を描きたかった。

新宿を小さくしたような街は日本全国にたくさんあります。こういう子たちがもしかしたら近くにいるんじゃないかと思えるような作品にしたかった。作品に触れて楽器をやる人が増えたり、昔やっていた人が復帰したりということが起こってくれればいいなと思っています。

私自身は、とにかくIPを作ることに注力したい。デバイスがどう変わろうがIPが強ければ確実に生き残る。まず今年は、今あるものの活性化と新しいものを作るという2つを中心にやっていきたい。あとは世間にすでにあるもので、まだ誰も手を付けていないものを光らせる。その第1弾といえるのが今回の『BanG Dream!』プロジェクトです。このプロジェクトは、これまで20数年間やっていたことの集大成でもあります。

記念すべき10周年目はこのプロジェクトを中心に業界を盛り上げていきたいですね!