コラム「木谷高明の視点」

第20回 「体験型エンターテインメント時代のイベントビジネス」

2015年04月16日

ブシロード社長の木谷です。
例年どおりですが、今年も春はイベントラッシュです。
まず4月25日、26日の土日は「大ヴァンガ祭×大バディ祭!!」。 

これはカードゲームのファンだけに向けたイベントではなく、アニメや声優さん、アーティストさんなどのゲストのファンも全部含めた"祭”なんですね。 ネットでの反応でも、大会参加に燃えている人もいれば、会場グッズを楽しみにしている人もいるし、ステージイベントをチェックしている人も。中にはフードコートのメニューは何だろう?って人もいます。

コンテンツや商品を売ることよりも、体験を提供するのがイベントの役割だと思っています。映画は映像作品を見せるだけでなく、「映画に行く」という体験のエンターテインメントなんですね。そこには「誰と行くか」「どこで見るか」がついてきます。

カードゲームもショップでカードを売るだけでは成り立ちませんよ。誰とどう遊ぶかを含めてカードゲームですから。
大ヴァンガ祭×大バディ祭!!をはじめとして、ミルキィホームズのライブを主催し、様々なイベントに出展して、これからもブシロードのエンターテインメントを体験してもらいたいんです。

3月にはアニメジャパンにも出展しました。大きな会場でステージイベントも充実していましたね。ブシロードのブースではキャラクターに混じって写真が撮れるコーナーを用意しました。大きな会場で作品世界を少しでも体験してもらおうという狙いです。結構、TwitterやFacebookに写真をアップして頂いた人もいたみたいですね。

販促品も豪華にして、立ち寄っただけでブースの満足度を高められたら、イベントとしては成功だと思っています。会場グッズの売り上げは重要ですが、夢を見せる場で現実のみを見せてしまったら、ファンはがっかりするでしょう。ディズニーランドの中がディズニーストアだけだったら楽しいはずないですよね。ブシロードはこれからもイベントはエンターテインメントであることを意識して出展して行きます。

毎年のことで、もう何度も言ってきたことですが、新年度は進級や進学などでコミュニティがシャッフルされます。カードゲームはコミュニティで遊ぶものですから、新しいコミュニティで遊び続けてもらえる、そして新しい仲間を引き込んでもらえるように宣伝や広報に力をいれています。

意識しているのは、お店を体験の場にすることです。それを知っているのはお店に立っている現場の人ですし、お店とのコミュニケーションを通じて、ショップを"祭の現場”にできるんです。

カードゲームの魅力を売り込むのに、カードゲームにものすごく詳しいとか、シングルの価格まで把握しているとか、そういった知識は武器のひとつにしかすぎません。 ショップの現場がどう盛り上がっているのか、店員さんはどんな気持ちでカードを扱っているのか、ブシロードを見ているのか。そこを汲み取ることも強い武器になります。

正直すぎる告白ですが、「ヴァンガード」は今、苦戦しています。でもカードの売り上げにつながっていないだけで、作品全体がそっぽ向かれているわけではありません。 

余談ですが、4月20日(月)の19時からニコニコ生放送で、ブシロードの2016年度新卒採用会社説明会を行います。私ももちろん参加します。興味のある方は是非ご覧ください。